八段を贈られた十代将軍徳川家治はどれぐらい将棋が強かったか(松本博文)

八段を贈られた十代将軍徳川家治はどれぐらい将棋が強かったか(松本博文)

2019/08/12 22:10
 将棋史は、どうも敬遠されがちです。そこで筆者がお薦めしたい、とても面白い漫画があります。
 それは江戸時代の将棋指しの群像劇をテーマとした星野泰視さん作、渡辺明三冠監修の漫画『宗桂 ~飛翔の譜~』です。第1巻は今年3月、第2巻はつい最近、8月9日に刊行されました。
 主人公の名である「宗桂」は、4人の名人を輩出した大橋本家の当主が名乗る大名跡。主人公の九代目宗桂(1744-99)は、8世名人に就位するほどの実力者でした。
 宗桂が将棋の指南役として仕えたのが、江戸幕府十代将軍の徳川家治(1760-1786)です。
 家治は熱烈な将棋の愛好者であったことが知られています。
 詰将棋では『御撰象棊攷格』(ぎょせん・しょうぎこうかく)という作品集も残しています。
 たとえば、初形が美しいこちらの作品はいかがでしょう。
『御撰象棊攷格』第45番 総手数は35手。玉は盤上中央5五の地点、天王山の位置から盤上隅1一にまで追われて詰みます。興味のある方はチャレンジしてください。これをもし家治自身が作ったとしたら、大変なものです。ただし、詰むのは詰むのですが、惜しいことに余詰(別解)があります。
 古今の詰将棋の大家は、家治作とされる詰将棋をどう見ているか。厳密にいえば、いろいろキズはあるのだけれど、将棋師ならぬ、いわばアマチュ……